UTUGI / RESEARCH & CREATION
人格表現と仮想性を探求する,
研究と制作の記録.
●は主な関連領域を示します.複数の領域に関わる用語には,複数の色を付けています.
ものの動きや反応から,「生きているようだ」と感じること.
自ら動き始める「自己推進運動」や,何かを追いかけるような「目的志向性」が手がかりになる.
単純な図形でも,動き方によって生き物らしさや意図を感じることがある.
自ら判断し,行動を起こす主体としての性質.
エージェントでは,自ら判断する「自律性」,他者と関わる「社会性」,状況に応じる「反応性」,活動を続ける「永続性」などから説明される.
心の知覚を扱うMind Perceptionでは,思考・計画・自制などの能力を感じ取る軸を指すため,文脈によって意味が異なる.
環境や他者から情報を受け取り,自律的にふるまうシステム.
ロボットのように実体のあるものだけでなく,画面上のキャラクターや対話システムも含まれる.
HAIでは,その能力に加えて,人とどのような関係を築くかが重要になる.
人間以外の対象に,人のような意図・感情・性格などを見いだすこと.
「このロボットは困っている」「この機械は気が利く」と感じるのもその一例である.
人型の外見だけでなく,動き方,声,応答の仕方なども擬人化の手がかりになる.
痛みの感じや赤色の見え方など,経験する本人にとっての主観的な質.
同じ刺激を受けても,他者が自分とまったく同じように感じているかを直接確かめることは難しい.
外見や行動は人間と同じでも主観的経験を持たない「哲学的ゾンビ」は,この問題を考えるための思考実験である.
他者が,自分とは異なる知識・信念・欲求を持つことを理解し,その行動を推測する能力.
たとえば,自分は物が移動したと知っていても,それを見ていない相手は元の場所を探すだろうと考えられること.
「誤信念課題」は,このような理解を調べる代表的な課題である.
コンピュータやネットワークを介して,人と人がコミュニケーションすること.
メール,チャット,ビデオ通話などがその例であり,相手の声や表情をどのように伝えるかも重要になる.
アバターやエージェントを介する場合は,その姿や自動的なふるまいも,相手の存在感や印象に影響する.
信じる,望む,考えるといった心の働きが,何かについて向けられているという性質.
「明日は雨だと信じる」なら,信念は明日の天気についてのものである.
「ついて性」とも呼ばれ,行動の目的を意味する「意図」より広い概念である.
会話やメディア利用の中で,相手がそこにいるように感じたり,相手とのつながりを感じたりすること.
「社会存在感」とも呼ばれる.
相手の親密さや心理的な距離に加え,声・表情・応答の仕方,利用するメディア,受け手の感じ方などが関わる.
身体を通じて環境や他者と関わること,また,その身体が認知や相互作用に果たす役割.
ロボットの実体や画面上の姿は,相手がどこにいて,どのように関われそうかを伝える手がかりになる.
対話相手としての分かりやすさや存在感を考える際に重要な概念である.
比較的持続して認められる,考え方やふるまいの傾向.
外向的・内向的といった印象は,エージェントの声,言葉,動作からも感じ取られる.
似た性格に好意を持つ「類似性効果」や,補い合う性格の組合せに関わる「相補性効果」など,人との相性も研究されている.
他者に人間らしい性質を認めない,またはその程度を低く捉えること.
理性や自制など,人間に固有とされる性質を否定する「動物的非人間化」と,温かさや感情を否定し,機械のように捉える「機械的非人間化」がある.
心をどのように他者に認めるかを考える際の重要な概念である.
人間とエージェントの相互作用や関係を扱う研究領域.
ロボットや仮想エージェントと人との関わりに加え,エージェントを介した人間同士の関わりも対象とする.
どんな機能を持たせるかと,どんな関係を築くかの両面から設計を考える.
人間とコンピュータシステムの相互作用を扱う研究領域.
画面や操作方法,情報の示し方などを通して,人がシステムを理解し,利用する過程を考える.
使いやすさだけでなく,利用時の体験や,システムが人の活動に与える影響も対象となる.
人間とロボットの相互作用を扱う研究領域.
ロボットの外見,動作,声,役割などが,人の理解や行動にどのような影響を与えるかを調べる.
人とロボットが同じ空間で安全に協力し,関係を築くための設計にもつながる.
ある対象に,どのような心や心的能力があると感じるかを扱う枠組み.
代表的な二つの軸は,思考・計画・自制などに関わる「Agency」と,感情・痛み・感覚などの主観的な体験に関わる「Experience」である.
単に心があるかないかではなく,どんな心を感じているのかを捉える.
対象に信念・欲求・意図があると捉え,そのふるまいを理解・予測する見方.
「このロボットは私を手伝おうとしている」と考えるのもその一例である.
デネットが示した三つのスタンスの一つで,仕組みを細かく知らなくても,相手の行動を見通す手がかりになる.
経験を通して形づくられた,物事を理解・予測するための知識の枠組み.
たとえば,初めての店でも,過去の経験から注文や会計の流れを予想できる.
新しい情報を理解する助けになる一方,予想に合わない情報を見落とすこともある.
対象が何をするために作られ,どのような機能を持つかに注目して,そのふるまいを理解・予測する見方.
自動販売機を「お金を入れて商品を選ぶと飲み物が出る機械」と捉えるのもその一例である.
デネットが示した三つのスタンスの一つ.
信念や欲求などを使って,他者の行動を日常的に理解・予測する枠組み.
「のどが渇いていて,冷蔵庫に水があると思ったから取りに行った」という説明もその一例である.
信念・欲求・意図を形式的にモデル化したBDIモデルは,人工知能やエージェントの行動設計にも用いられる.
意識を,頭の中の一つの中心が全てを見て判断する仕組みとしてではなく,複数の処理が並行して進み,書き換えられていくものとして捉えるモデル.
ダニエル・デネットが提唱した.
意識の背後に,情報を全て受け取る小さな観察者を想定しない点に特徴がある.
相手やシステムに期待した能力と,実際に感じた能力との差.
期待を上回る場合を「正の適応ギャップ」,下回る場合を「負の適応ギャップ」と呼ぶ.
人はやり取りを通じて相手への理解や行動を更新するため,ギャップも変化していく.
双方が互いに合わせて変わる過程が「相互適応」である.
概念や理論を,現象の説明・予測にどれだけ役立つかという観点から捉える立場.
たとえば,「この機械は人を助けたがっている」という説明が行動の理解に役立つかを考える.
その説明の有用性と,機械が実際に欲求を持つかという問いを分けて考えられる.
確実に認められるのは自分の存在や経験だけではないか,という問いに関わる立場.
「唯我論」とも呼ばれる.
他者の経験を直接確かめられないという問題は,人や機械に心があると判断する根拠を考える際にも現れる.
人の判断や認知を,直感的・自動的な過程と,熟慮的・分析的な過程から説明する理論群.
前者は「System 1」,後者は「System 2」と呼ばれることがある.
会話する機械に思わず礼儀正しく応じる反応と,後からその仕組みを考える判断を捉える手がかりになる.
人の周辺認知を利用し,作業を妨げにくい形で情報を伝えるための技術.
たとえば,周辺視野に入る穏やかな変化を使い,集中している時は気になりにくく,余裕がある時は気づける通知を目指す.
何を伝えるかに加え,どの程度目立たせるか,いつ気づいてもらうかを設計する.
対象を人間に似せていくと,親近感が単純に高まるのではなく,ある範囲で強い不気味さを感じるという仮説.
その理由には,人間とも機械とも分類しにくいことや,顔・動きなどの要素が食い違うことが挙げられる.
どのような対象や条件で起こるかについては,さまざまな研究がある.
対象の材料や構造,物理的な仕組みから,そのふるまいを理解・予測する見方.
自動販売機でセンサーが入力を検知し,モーターが商品を動かす過程に注目するのもその一例である.
デネットが示した三つのスタンスの一つで,故障の原因を調べる際などに役立つ.
機器の動作に合わせてエージェントがふるまい,その成果をエージェントの働きとして感じさせる設計モデル.
たとえば,自動で室温が変わった時に「寒そうだったので暖房を調整しました」と話すことで,機器の動作がエージェントの気遣いとして受け取られる.
人が出来事の因果関係を捉える働きを利用する.
ある状況についての知識を,ひとまとまりの構造として表す考え方.
たとえば,レストランという枠組みがあれば,客・店員・注文・会計などの関係を予想できる.
一つひとつの情報を最初から考え直さず,既知の構造を使って理解する助けになる.
情報処理を「何を,なぜ行うか」「どんな表現や手順で行うか」「何によって実装するか」の三つの水準から分析する枠組み.
順に,計算レベル,表現・アルゴリズムレベル,実装レベルに対応する.
システムの目的と処理方法,物理的な仕組みを分けて考えられる.
人がコンピュータやメディアにも,対人的な反応や社会的ルールを適用するという考え方.
機械に礼儀正しくしたり,声や言葉から性格を感じたりする反応がその例である.
関連するCASA研究では,コンピュータが社会的な相手として扱われる条件や,その影響が検討されている.
自分だけで全てをこなすのではなく,不完全さや依存性を通じて,人の援助や協力を引き出すロボットの考え方.
たとえば,自力ではごみを拾えないごみ箱ロボットでも,人に拾って入れてもらえれば,周囲をきれいにできる.
個体の高性能化だけでなく,人との関係の中で生まれる力に注目する.
「明るい―暗い」「親しみやすい―親しみにくい」など,対になる形容詞を使って,対象への印象を測る方法.
複数の尺度を組み合わせることで,ロボットやキャラクターの印象を比較できる.
対象の性能そのものではなく,人がどう受け取ったかを調べるために用いる.
相手が人間か機械かを伏せた対話を通じて,機械を人間と区別できるか検討するテスト.
表情や動作なども含めて調べる拡張は,マルチモーダルチューリングテストと呼ばれる.
人間らしい応答ができるかを考える手法であり,その結果だけで心や主観的経験の有無が証明されるわけではない.